Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://aup1109.blog.fc2.com/tb.php/21-e5ab7610

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

第19回 94P 「氷の世界/井上陽水」

 ニコマスフォークジャンボリーの主催経験から、これを選ばなければいけない気がしました。
 あ、ちなみに僕の音楽の原点です。

氷の世界

「氷の世界」 井上陽水


 日本に生まれてきた以上、井上陽水の音楽に触れないのは非常に難しいことだと思います。
夏になればどこかしらから「少年時代」が聞こえ、アイマスのCDを買えば「夢の中へ」が聞こえ、ニコマスを開けばうしわかPの「Make-up Shadow」を見つけることでしょう。

それでも井上陽水を知らないよ、とか言う人の為にちょっと説明をば。


1969年 「アンドレ・カンドレ」という芸名でデビュー
1972年 名前を井上陽水と改め再デビュー。
1973年 自身初のヒット曲「夢の中へ」を発表、同年の『氷の世界』が日本レコード史上初のLP(現在で言うCDアルバム)販売100万枚突破の金字塔を打ち立てる。
1975年 吉田拓郎、泉谷しげる、小室等と共にフォーライフ・レコードを設立。アーティストがレコード会社を持つという事は非常に挑戦的なことでした。
1984年 安全地帯や中森明菜への積極的な楽曲提供や、セルフカヴァーアルバム『9.5カラット』の大ヒットから「第二次陽水ブーム」が起こる。
1996年 ユニコーンのボーカリスト奥田民生と「井上陽水奥田民生」を結成し、PUFFYに提供し大ヒットする「アジアの純真」などの名曲を生む。
1999年 デビューから30周年になることを記念して、2枚組のベスト・アルバム『GOLDEN BEST』がリリースされ200万枚を超える大ヒットを記録。
2001年 「コーヒー・ルンバ」「花の首飾り」のカヴァーがヒットし、日本のポピュラー音楽において2003年ごろまで続くカヴァー・ブームの先駆けとなる。
2012年 ap bank fesやFUJI ROCK FESなどに参加するほか、2000年代からほぼ毎年のペースで行っている全国ツアーを完走する。
     

 とまぁ大雑把に年表にするとこんな感じです。

 40年以上日本の音楽シーンの第一線で活躍し、その才能を幅広い世代に認識され続ける。不思議な雰囲気を漂わせる人間性、透き通るような歌声、何言ってるのかよくわからないけど何かすごい独特な詩の世界。ここまでくると陽水さんの魅力を語るの非常に簡単なことです。中学の時に初めて熊本市民会館で見て聞いたライブは僕の生涯忘れることのできない、非常に素晴らしい時間でした・・・

 閑話休題

 ではでは、あんまり長くなってもあれなんでアルバムがたりを始めさせていただきます。

 まずレコードを回して1曲目から飛び込んでくる「あかずの踏切」。
当時の井上陽水といえば「傘がない」「人生が二度あれば」など非常にセンチメンタルな感情を歌い上げることを評価されていて、アルバムのジャケットからもどことなくそんな雰囲気があるのに、いきなり始まるのが軽快なドラムとコーラスという非常に明るさと高揚感を持つメロディなんです。
 しかし、よく歌詞を見ると曲題の通り「あかずの踏切」。
歌詞の中では、あたたかいご飯の匂いや大好きなキャッチボールをする子供の姿が見える向こう側に行けないまま、ただ開くのを待って立ち尽くすだけで曲は後奏から2曲目につながります。

 2曲目の「はじまり」はたった40秒の曲です。歌詞カードを見るとわずか4行の世界は、夜が来て明かりと星の華やかなドレスを着た街を見て今夜は誰でも愛せそうと歌い、前の曲からの時間と、次の曲へのつなぐ役割として非常にいい味を出しています。

 そして3曲目は「あかずの踏切」「はじまり」という3分13秒をまるでイントロのように受けて「帰れない二人」がはじまります。
 前の曲で期待と愛に満ち溢れていた気分を打ち消すように始まるアコースティックギターの音色はとても切なく、歌い出しから夜露の冷たさに震えます。愛する相手に何かを打ち明けようとした瞬間に、明かりという華やかなドレスを着た街はそのドレスを脱ぎ、星さえも二人を置いて街から帰ろうとしている。そして二人は街の中で、手と手をつなぎ口癖のような夢を見ていたはずなのに・・・
 
 なんていうセンチメンタル!!

 正直もうこの流れだけで名盤確定と言って良い程に素晴らしい流れなんです。センチメンタルっていう横文字の使い方がちゃんと合っているのか不安になるくらい、この3曲の流れはこのアルバムを聞く人間を一気に沸点までもっていきます。
 
 そしてそれまでの曲たちから血色を変え、ファンキーなサウンドの中で熱唱する表題曲の「氷の世界」。
 これは曲もそうですが歌詞がスゴイ。歌い出しはこうです、


 窓の外ではリンゴ売り  声を枯らしてリンゴ売り
 きっと誰かがふざけて  リンゴ売りの真似をしているだけなんだろう


 この歌詞は当時中学生になったばかりの僕の頭を、ブラウン管の中から流れてくるやいなや思いっきりブン殴っていきました。
 今まで聞いていた流行歌とは全然違う、全く何を言っていうのかわからない凄いものを聞いてしまった。僕は次の日からこの歌を良く口ずさむようになり、親や学校の友人たちからとうとう頭がおかしくなったのではないかと疑われていたことでしょう。それ程までにこのフレーズはインパクトがあったんです。まるで初恋や一目惚れの用に僕の体に、ビビビッときました。
そんな歌詞の中でも、人を傷つけたいという願望を持ちながら、それを出来ないでいるという理由が、ただ自分が怖いだけなんだという気持ちを優しさという言葉で解決していたりと、人間の感情を奇妙に表現しているのは非常に面白いです。

 そして2曲あけてピアノの重たい音から「心もよう」が始まります。
 黒いインクがきれいでしょう青い便箋が悲しいでしょう、という問いかけが非常に印象に残る曲ですが、今の時代に直すと携帯電話のメールの顔文字がどうたらこうたらという感じでしょうか?
正直今の言葉ではとてもこの心情を書き表せない感じがしますね。黒いインクのきれいさと青い便箋の悲しさが合わさり最強に見える。とまではいかないにしろ、普通に使う白い便箋と違う、ちょっとしたニュアンスでこうも物語の出だしを彩れる。そういう言葉のマジックが僕は好きです。

 さて、ここまで来るとこのアルバムの山場は全て登り切ります。
 
 「待ちぼうけ」「桜三月散歩道」「FUN」「小春おばさん」「おやすみ」

 この5曲は王道のフォークソングとして『氷の世界』というアルバムに安心感と余韻を残してくれるんです。
 特に個人的なオススメは「桜三月散歩道」です。この曲は長谷邦夫という漫画家との共作として日本作詞大賞LP賞受賞を受賞した隠れ名曲で、曲こそは陽水さんが明るい感じで仕上げていますが、詩の中身は町に出かけたら花のない桜の木の道を歩き、もうすぐ人も花も狂ったように咲く三月だね、って明るく歌うんです。梶井基次郎の詩の如く、桜という一見きれいだったり明るく美しいものにこそ狂気はあるという様なことを陽水調で歌っているのは非常に面白いです。

 そして最後の曲、「おやすみ」がしっとり幕を引き、37分42秒の『氷の世界』が終わります。

 まぁここまで語らせていただきましたが、音楽というものは百読は一聴にしかず。
 ニコマス・ロックンロールレディオ風に言うと「いいから聞け!」ですかね。
 この文を書くに際して、久しぶりに棚から出した『氷の世界』を聞いていますが、今でも自分の中では必要な1枚だと感じます。真っ白な紙に素っ気なく文字だけ書かれた歌詞カードについた茶色い染みが、親にねだって買ってもらった安いフォークギターで練習した頃を思い出させたり、なんかタイムカプセルをあけた気分です。

 それではこの辺で、お付き合い頂きありがとうございました。

 



※日本で発売されているこのCDは二種類あり、当時入っていた「自己嫌悪」という曲が入っていないバージョンがメインになっています。お店に並んでいるほとんどが「自己嫌悪」がカットされたバージョンの「氷の世界」です。

<12.4追記>
最新の復刻盤CDからは「自己嫌悪」が再度収録されているようです。



Author:94P
マイリスト:自作マイリスト http://www.nicovideo.jp/mylist/18715882


スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://aup1109.blog.fc2.com/tb.php/21-e5ab7610

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

『ニコマスとP』編集部

Author:『ニコマスとP』編集部
ニコマスをもっと楽しんでもらうためのブログ。編集部メンバーは次の12名です。
・アゥP
・ハバネロP
・朗読P
・キリキ
・keyfard
・ミントガムP
・メイド好きLP
・黒魔導P
・ムニエル
・じたP
・黄緑野郎

Twitter

検索フォーム

カウンター

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。