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ピコイチ2nd第2回 乾燥もやしP「MANIA MANIERA/MOON RIDERS」

MANIA MANIERA
「MANIA MANIERA/MOON RIDERS」

「ミュージシャンズ・ミュージシャン」と言う言葉がある。

 一般的な知名度はマイナーだが、音楽に携わる一線のミュージシャンたちからリスペクトされ、賞賛されるようなミュージシャンを指した表現だが、その言葉の中には「売れてないかもしんないけど、すっげぇ良いんだよ!」と言う感じの、一旦落としてから持ち上げる的な一種の失礼感が有るのは否めないのではないだろうか。

 ムーンライダーズもまた、「ミュージシャンズ・ミュージシャン」であった。1975年に結成され、2011年に無期限活動休止を宣言するまで、爾来36年にもわたって日本のミュージック・シーンの片隅でグランド・アマチュアリズムを振り翳しながら先進的で刺激的な音楽を提供し続けていた。にも関わらず、彼らは結局大きなヒットナンバーを産み出すことはなく、にも関わらず、彼らは僕らムーンライダーズ・マニアたちに音楽の有難味を教え続けてくれたのである。

 そんな彼らの音楽活動において、もっとも刺激的で挑戦的で、私の中における「音楽の評価基準」としてかれこれ30年近く存在し続ける不動の「原点」が、マニア・マニエラである。

 音源として観るなら1981年にマスタリングされた古いものだが、当時まだ普及していなかったシーケンサ・MC-4を意欲的に導入し、キーボード担当の岡田徹をして「キーボーディストによるスタジオ帝国主義時代の到来」と感じさせるほどの、当代において進歩的な打ち込みモデルの運用をする反面、このアルバムの前作である「カメラ=万年筆」などに見受けられた奇怪な生音のサンプリング、カセットテープの端と端をアナログに連結することによって作られたループ音源など、今の時代であればノンリニア編集環境においてもっと手軽にできることの礎を、彼らは無の地平から作り上げた。

 その行き過ぎた先進性は、当時の商業音楽としての領域を超越したのだ。

 当時ムーンライダーズは、デビュー以来所属していたクラウンレコードからジャパンレコード(現・徳間ジャパン)へ移籍したばかりであり、マニア・マニエラはジャパンレコードでの最初のリリースとなるものだったが、「薔薇がなくちゃ生きていけない」をモットーに「労働」をコンセプトとして彼らのマニエリスム溢れる抽象様式で彩られた稀代の名盤は、「難解である」「これでは売れない」との評価によってリリースに対して圧力が掛けられたことに対し、彼らは毅然と「だったら出さねぇよ」と引っ込めてしまったのだ。こうしていったん、アナログ盤マニア・マニエラは「幻のアルバム」と化し、彼らは次のアルバムとなる「青空百景」の制作に入って行く。

 だが、考えたい。「難解である」とは何かを。

 そこには奇妙なマニエリスムとの、思想的結合点を見出すことができないだろうか。いわば、彼らは初めから「わかりやすいもの」が何かを知っていて、かつマニア・マニエラの楽曲群を「わかりにくいもの」として作り上げた。メタファーとシンボリックに溢れた様式的音楽の追求により、一見不透明にも聞こえる音楽は確かに難解だったのかも知れない。鈴木慶一は過去に「僕らの音楽は暗号なんだ。解読できる人だけがわかる」と述べたことがあるが、これがちょうど「カメラ=万年筆」から「マニア・マニエラ」に至る間にムーンライダーズの音楽性が迎えたセキュリティ暗号強度のピークであったように思う。
「難解である」とは「理解することを放棄した」思考停止の糖衣構文なのだ。

 遊び心とパスティーシュ的な手法に塗れた「カメラ=万年筆」は確かに難解だったが、それは一種の架空映画音楽集としてのコンセプトに照らせば、難解もクソもそもそもメッセージ性なんかないんだ、聴いて笑え、と言う手合いのものだった。だが「マニア・マニエラ」は違う。全曲と通して一つのテーゼによって貫かれた思想が存在し、僕らは確かに「薔薇がなくちゃ生きていけない」を合言葉にアルバム全体に齎されたソリダリティを感じることによって、アルバムと一体になることができたのだ。

 そりゃあ売れねえわ。今でも思う、このアルバムが国民的大ヒットになるわけがない。なりようがない。現代の晩年たる21世紀の今でさえ「なんだこれ?」と思う人のほうが圧倒的なんじゃないだろうか。好きな人だけが好きで、わからない人には迎合しない。そんなことやってるから、アンタたちは結局40年近くやっててヒット盤の一枚もないんですよ! と、過去に一発命中Pとそんな話をした記憶がある。

 さてその幻のアルバムは、もちろん本当に幻になったわけではなく「青空百景」のリリースのあとに、1982年当時ほとんど普及していないCDによるリリースが行われ(!)、後にカセット・ブック(!)と言う媒体で一般にリリースされたのち、彼らがポニーキャニオンに移籍しTENTレーベルを立ち上げたのちに、ジャケットデザインを一新して再版された。現在ではiTunes storeでも配信されており、そのジャケットは初期リリース当時のものである。

 そんな彼らから、私はモノを作ることを間接的に学んだ。だからなのか、そうなのか、私も心のどこかで「好きな人だけが好きで、わからない人には迎合しない」と言う意固地さがどこかにある気がする。そんなこと言ってるから、アンタは3年半もニコマスPやってて代表作の一つもないんですよ! と、誰かに言われたならぐうの音も出るまい。

 私もできることなら「プロデューサーズ・プロデューサー」になれれば良いと思っている。



Author:乾燥もやしP









ブロマガ:歩いて、車で、サイクロトロンで。

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